CTG(結合組織移植術)
CTG(結合組織移植術)とは、歯肉退縮や薄い歯ぐきを根本から整える歯周外科治療です。
「歯ぐきが下がってきた気がする」
「歯が以前より長く見えるようになった」
「将来、歯が弱くならないか不安」
こうしたお悩みは、年齢に関係なく多くの方が感じています。その背景にあるのが、歯肉退縮や歯肉の厚み(フェノタイプ)といった問題です。
結合組織移植(CTG:Connective Tissue Graft)は、歯ぐきの見た目を整えることだけを目的とした治療ではありません。歯を長期的に守るための「土台を整える治療」として行われる歯周外科治療です。
このページでは、結合組織移植について、学術的な知見を踏まえながら、できるだけ分かりやすく解説します。
CTG(結合組織移植術)とは
CTG(結合組織移植術)とは、上顎の口蓋(上あごの内側)から結合組織を採取し、歯肉が薄い・下がっている部位に移植する治療法です。
- 表面の上皮
- その下にある結合組織
- さらにその下の歯槽骨
これらが一体となって歯を支え、ブラッシングや細菌などの外部刺激から守っています。
CTG(結合組織移植術)は、この中でも特に重要な「結合組織」そのものを補強する治療であり、歯肉の厚み・強さ・安定性を高めることを目的としています。歯肉の厚みを増やすことは、歯肉退縮の予防や長期的な安定性に関与する要素として、多くの研究でも示されています。
歯肉退縮とは
歯肉退縮とは、歯ぐきが歯の根元方向へ下がり、本来歯ぐきに覆われているはずの歯根が露出した状態を指します。

歯肉退縮によって起こる問題
- 歯が長く見える(審美的な変化)
- 知覚過敏(冷たいものがしみる)
- 根面う蝕(虫歯)のリスク
- 歯垢がたまりやすくなる
- 将来的な歯周病リスクの増加
歯肉退縮は、歯肉の厚み、歯の位置、清掃習慣など複数の因子が関与して生じることが報告されています。
なぜ歯肉は下がるのか
歯肉退縮は、ひとつの原因だけで起こるものではありません。
複数の要因が重なって生じます。
主な原因
- 生まれつき歯肉が薄い
- 歯の位置が歯槽骨の外側に近い
- 強すぎるブラッシング
- 歯周病
- 噛み合わせの力の偏り
- 歯の移動を伴う治療
特に重要なのが、歯肉の厚み(フェノタイプ)です。
歯肉が薄い状態では、わずかな刺激や歯の位置変化に対しても、歯肉退縮が起こりやすい傾向があります。
矯正治療と歯肉退縮の関係
近年、矯正治療の結果、歯肉退縮してしまったという事例が増えてきています。
しかし、矯正治療そのものが、必ず歯肉退縮を引き起こすわけではありません。
しかし、
- 非抜歯で歯列を拡大する治療
- 前歯を前方へ移動・傾斜させるケース
- 歯槽骨の幅が限られている場合
こうした条件が重なると、歯肉や歯槽骨への負担が大きくなることがあります。
特に下顎前歯部は、骨や歯肉が薄いことが多く、歯肉退縮が起こりやすい部位とされています。
こんな悩みをお持ちの方が、CTG(結合組織移植術)を受けています
結合組織移植は、「歯ぐきが下がったから必ず行う治療」ではありません。一方で、以下のような悩みをきっかけに相談される方が多い治療です。
- 歯が以前より長く見えるようになって嫌だ
- 歯の根元がしみるようになった
- 歯ぐきが薄いと歯科医院で言われたことがある
- 将来の歯肉退縮が心配
- インプラント周囲の歯ぐきが気になる
- 今すぐ治療が必要かどうか分からない
CTG(結合組織移植術)を検討される理由は人それぞれですが、多くの場合「見た目」「しみる症状」「将来への不安」が重なっています。
治療が必要かどうか、今の状態を確認したい方は
CTG(結合組織移植術)は、すべての方に必要な治療ではありません。
状態によっては、
- 経過観察が適切な場合
- セルフケアの改善で十分な場合
- 他の治療法が望ましい場合
もあります。
まずは現在の歯ぐきの状態を確認し、治療が必要かどうかを一緒に整理することが大切です。
※治療を無理に勧めることはありません。
CTG(結合組織移植術)が適応となる主なケース
- 1.すでに歯肉退縮が起きている場合
- 2.歯肉が非常に薄い場合(予防的な目的)
- 3.インプラント周囲の軟組織改善
比較的軽度〜中等度の歯肉退縮では、歯肉の被覆や厚みの改善が期待できることがあります。
CTG(結合組織移植術)の術式について
- 結合組織移植+歯冠側移動フラップ
- トンネルテクニック
- エンベロープテクニック
- VISTA法
- 上皮除去型結合組織移植
歯肉の状態や治療目的に応じて、適切な方法が選択されます。
| CTG(結合組織移植術)のメリット | CTG(結合組織移植術)のデメリット・注意点 |
|---|---|
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当院がCTG(結合組織移植術)を検討する際に重視している点
CTG(結合組織移植術)は、術式そのものよりも適応をどう判断するかが重要な治療です。
歯肉の厚み、歯の位置、清掃状態、噛み合わせ、将来的な変化までを含めて総合的に評価します。
CTG(結合組織移植術)の治療の流れ
口蓋から結合組織(移植片)を採取

結合組織片を下がった歯ぐきの部分に移植

縫合して治癒を待つ

よくあるご質問(FAQ)
Q.手術は痛いですか?
手術中は麻酔が効いていますので、痛みを感じることはありません。歯茎を採取した部分には多くの場合、患者様ご自身の血液から作製したPRF(濃縮血小板フィブリンゲル)や傷口をカバーするマウスピース(シーネ)を使用し、痛みを最小限にとどめるための処置を行っています。
Q.保険は使えますか?
原則として自由診療となります。
CTG(結合組織移植術)を行わない選択が適切な場合
- 歯肉退縮が軽度で進行リスクが低い場合
- 清掃状態の改善が優先される場合
- 外科処置のリスクが高い場合
- 喫煙習慣があり禁煙が達成できない場合
まとめ|歯を守るための基礎治療としてのCTG
CTG(結合組織移植術)は、見た目の改善だけを目的とした治療ではありません。
歯肉という「歯の土台」を整えることで、将来にわたって歯を守るための治療です。
まずはご相談ください
歯ぐきの状態や治療の必要性は、実際に診てみなければ分からないことも多くあります。
不安な点や気になる症状がある方は、まずは現在の状態を確認することから始めてみてください。
※診察の上で、治療が不要と判断される場合もあります。
※無理に治療を勧めることはありません。
※当院では、以下のような歯周病学・インプラント学の主要な文献やガイドラインに基づき、科学的根拠のある手技で治療を行っています。
参考文献・引用文献
- Zucchelli G, De Sanctis M. Journal of Periodontology, 2000
- Cairo F, et al. Journal of Clinical Periodontology, 2014
- Chambrone L, et al. Cochrane Database, 2018
- Thoma DS, et al. Journal of Clinical Periodontology, 2014
- Lang NP, Löe H. Journal of Periodontology, 1972
※本ページは一般的な医療情報を目的としており、実際の治療適応や結果は個々の状態によって異なります。詳細は診察の上でご説明します。


